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OPAMブログ

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「国立国際美術館コレクション 現代アートの100年」展 皆さまのご感想

展覧会 2022.07.27

パラボラ舎代表 たなかみのるさん
国立国際美術館は大学や大阪在住時によく拝見したコレクションでした。でも当時は、作品の背景を十分知らないまま、一点づつみていたなんとも不勉強な学生だったなーと、展覧会を通して反省しました(笑)30代のいま、夜な夜な展覧会カタログを眺めています。

「現代美術はよくわからない」僕もです。戦争とか、他の作品に影響を受けたとか、作品が生まれた時代背景を知るとちゃんと楽しめるのは、映画や音楽と似ています。「ハロー・アート」とあるとおり、100年分の作品と時代背景が並ぶこの展覧会は「現代美術を楽しむ入口」だと思います。

僕は郷土玩具の単純な要素や歪みやタッチの違いでうまれるちょっとした個性に魅力を感じます。展示作品の中では、シュテファン・バルケンホール《赤いシャツとグレーのズボンの男》にひかれました。この作品の、個性的にしすぎないからこそ「見る人の個性」を受け止めてくれるところが好きです。「現代美術はよくわからない」という声は多いですが、僕もです。今回、時代背景とセットで鑑賞して、リアルタイム世代ではない映画を見るときの「ふつうにみえるけど何がすごいんだろう」という印象に似ているなと思いました。「後世のスタンダード」を更新し続けた現代美術の100年を体感できる国立国際美術館コレクション展、オススメです。

 




アーティスト 安部泰輔さん
アグネス・マーチン《無題#10》について
一見すると冷たい印象を受ける抽象画にみえるが丹念に塗り込められた画面は静かな湖面のように揺らぎ、豊かな時間の流れに自然に身をまかせた様な感覚になりました。いつか個展を見てみたいです。




大分路上観察学会 さとうえいすけさん
マルセル・デュシャン 《トランクのなかの箱》について
芸術表現は写実、印象、抽象と新しいものの見方を探しながら変化しました。そして、キュビズムという立方体の視点で平面の絵画を描くというピカソの流行のあとに現れたのが、このデュシャンさんです。絵を描いたり、石を彫ったりして、それらにサインをして作品が完成するという形式から離れて、サインだけで芸術表現が成り立つのではないかという命題を投げかけた人。

モナリザのポスターに、サインと、ついでに髭を書いたり。工業製品として作られた便器にサインをしたり。さらに、それらの作品をミニチュアにしてセット販売したのがこの「トランクの箱」です。
「よくわからないアート」の始まりの人であり、一方で、描くとかつくるという技術から飛び出して、みることにシフトさせた、アートをより自由にした人でもある。現代アートの100年展をみていると、アートをつくる人だけでなく、みる側の私たちも、もっともっと自由になれるような気がしてきます。



伊藤憲吾建築事務所 伊藤憲吾さん
現代アートの100年を拝見させていただきました。私は建築を生業としていて、アートに関して門外漢なのでこういう場でコメントすることは少々憚られますが、自分の感じたところをお伝えできればと思います。

現代アートってなんだろう?というのは率直な感想です。美術作品というのは作家が完成させるものですが、現代アートは見る人との対話性が残されていて未完成な作品という印象を自分は持っています。一つずつの作品の前に立ち、歩き、考え、、、非常に疲れます(笑)それぞれの作品に「何か」を感じることができ、それが何だろう?と考えることを繰り返すことは、脳が心地良い疲労感を感じることができ、想像力が活性化されます。建築も他者を介して完結するものだと思っています。現代アートに近いものを感じました。

これは職業病みたいなものなのですが、美術館建築とアートの関係性を気にしながら見てしまいました。
OPAMは坂茂さんの設計された美術館です。そのコンセプトには開かれた空間性があると思います。今回の1階の展示会場は天井(2階床)が上部に吊るされていて、柱などが全く無く、しかも壁が可動する自由な空間です。現代アートの自由に拡張する表現と連動できる空間だと感じます。平面や立体の表現だけではなく、概念性やアクティブな要素を持つ現代アートにとって、新たに拓く可能性があると感じました。

大阪の国立国際美術館は、完全地下室型の美術館の上部に現れる造形はまさに現代アートで、街の人に考えることを問いかける建築でした。

現代アートは見る人の思考が作品の一部となるように思います。国立国際美術館の造形もそれなんだと思います。建築は人が入る(使う)事で建築になります。見て、入って、体感して、そこで時間を過ごすことも建築です。現代アートは建築と親和性があるかもですね。OPAMとの共催は、それぞれの建築空間としても共鳴する展覧会のように思います。ぜひ行ってみてほしいです。

ミヒャエル・ボレマンス《The Trees》他1点について
この会場で初めて知った作家なのですが、ミヒャエル・ボレマンスさんの作品が気になりました。最初は割と普通の人物画なのかな?と思っていましたが、なんだか気になり作品解説を見ると本人の言葉として「どういうわけか人間は合理主義よりも、理解しがたいものに惹かれる」とあり共感しました。

建築にも芸術性がありますが、どうしても経済的合理性や機能的合理性が重んじられます。その中で合理性がない物が魅力として見出されることがあります。例えば縁側などもその一つです。機能用途のないものですが好む方が多いです。私も感性に訴えかける「なんだか気になる」建築空間を設計することができればと考えることができました。