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「ポケモン化石博物館」寄稿記事【下】

寄稿 2023.01.14

山崎哲一郎《生命(いのち)の残象(ざんしょう)》2021年

山崎哲一郎《生命(いのち)の残象(ざんしょう)》2021年

 人気ゲーム『ポケットモンスター』シリーズに登場する不思議な生き物「ポケモン」には、カセキから復元される「カセキポケモン」がいくつか知られています。本展では、「カセキポケモン」と私たちの世界で見つかる「化石・古生物」を見比べて、似ているところや異なっているところを発見し、古生物学について楽しく学んでいただきます。
 本展は、2021年夏、北海道の三笠市立博物館を皮切りに国内4カ所を巡回し、大分での開催は、九州初になります。各会場とも人気が高い展覧会です。
 大分会場での特徴として、無料の特設コーナーで、大分県の化石や岩石を展示しています。県内には、古生代から新生代までの各時代の地層があり、いろいろな種類の化石や岩石が見つかっています。これらを通して大陸が移動した痕跡や気候の変動を知ることができます。また、火山の噴火や天体の衝突、かつて生息していた生き物のことなどについて、時代を超えて知ることができます。
 特設コーナーでは、化石や古生物を題材とする美術作品もご紹介しています。大分県美術協会会長の山崎哲一郎氏による大作「生命(いのち)の残象(ざん/しょう)」がご覧いただけます。描かれたモチーフについて、株式会社ポケモンと国立科学博物館、三笠市立博物館のご協力により、どのような化石・古生物が描かれ、どのカセキポケモンに似ているのか、ということまで分かりました。とてもユニークな試みです。
 同じコーナーでは、大分市在住の絵本作家・美術家、ザ・キャビンカンパニーによる「ポケモンのしま」の原画を初公開しています。子ども時代に体験した、郷愁あふれる世界を私たちに見せてくれます。
 「ポケモン化石博物館」は、24日まで開催します。特に休日には、多くの来場者が予想されますので、お時間に余裕を持ってお越しください。

 (県立美術館学芸員 梶原麻奈未)


大分合同新聞 令和5年1月14日掲載