2025年08月15日
「チームラボ 学ぶ!未来の遊園地と、花と共に生きる動物たち」寄稿記事②
テクノロジーによるアートの最前線を走り続けるチームラボは、アートとテクノロジーを融合させた独自の表現で、国内外から高い評価を得ています。現在、大分県立美術館で大好評いただいているその代表的プロジェクト「学ぶ!未来の遊園地」は、子どもから大人までが体験を通して創造力や共同性を育むことを目的とした参加型の展覧会です。
様々なコンテンツからなる会場のなかでも、ぜひ体験いただきたい作品が《スケッチ環世界》です。本作は、来場者が自由に色を塗ったヒコーキや、イルカ、蝶、タカなどが、目の前に立体に出現し、世界に飛び立ち、独自の知覚世界(環世界)を持って動き出すというインタラクティブなもの。ある生き物は音に反応し、あるいは色を識別せず、あるいは空間の構造そのものが違って見えています。これらは「すべての生き物は、自らの感覚世界の中で生きている」という生物学の概念「環世界」をアートとして表現した試みであり、他者の視点を想像するという倫理的で哲学的な問いを、楽しみながら体験する作品です。
一方、《すべって育てる! フルーツ畑》は、来場者が大きな滑り台をすべる動きがそのまま巨大な果樹園に影響を与え、種がまかれ、果実が実るというダイナミックな作品です。参加者の身体の動きが空間に直接結びつくことで、アートと遊び、創造と環境のつながりが直感的に理解され、自分の行動が世界に影響を与えるという体験の場ともなっています。さらに、《光のボールでオーケストラ》は、音と光を媒介にした来場者同士の即興的なやりとりが魅力です。その折々に空間全体が様々に彩られ、まるで一つの音楽作品を創造するようなインスタレーション作品です。
いずれの作品にも共通するのは、アートはもはや静かに鑑賞するものではなく、自ら参加し、他者と関わりながら育てていくもの、「共創」というチームラボの理念です。
本展は、最先端のデジタル技術を駆使しつつも、子どもたちの創造力や他者理解を育む豊かな芸術空間となっています。アートの未来の一つの方向性を示すと同時に、学びと遊びの本質を問い直す場としても、示唆に富んだ展覧会といえるでしょう。
(大分県立美術館 学芸企画課長 池田隆代)
