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「第14回春陽会九州研究会展」展評

寄稿 2020.11.01

個性豊かに光を放つ


第14回春陽会九州研究会展が大分市荷揚町のアートプラザで開かれている。11月1日まで。入場無料。
大分県立美術館主幹学芸員の宇都宮寿さんの展評を紹介する。

母体となる春陽会は1922年に発足し、国内の画壇を長くリードしてきた歴史と伝統を誇る美術団体である。九州研究会は、九州在住の作家の絵画研究の進展を目指して結成され、今回は県内8人、熊本県2人の計10人が出品している。「春の陽光」という会の名前のように、10人それぞれが光を放つ展覧会となっている。各作家の感想を述べる。
松本篤(会員)は、洗練された色彩と構成で、2人の人物が並ぶ詩的な空間を現出させている。野村正則(同)は、別府湾越しに穏やかな陽光が差し込む室内に緊急事態宣言の見出しが記された新聞紙面が片隅に描かれたもの。新型コロナ禍で浮き彫りになった課題などを問う社会性のあるテーマを扱う。川野美華(同)は、異形の生き物たちが個性豊かにさまざまな表情を見せる独自の絵画ワールドを展開する。
田口玲子(会友)は、陽光や芽吹きなどを感じる心洗われるような画面を創出。荒木宣男(同)は、雑草や道路など、日常の何げない風景の中にもいとおしさを見いだすまなざしを感じさせる。古閑良隆(同)は、はるか遠くに水平線を臨む自然の風景を克明に描く、悠久の自然の営みを感じさせる。
岩本俊太朗(一般)は、勢いのある筆致で人物や室内のマッスをとらえ、心象風景や物語を紡ぎ出すような画面。丸岡あすか(同)は、大画面に幾重にも塗り重ねられた色面が、自然や時間などが積み重なっていく奥行きや深さを感じさせる。草場奈穂子(同)は、バラやタイルなど日常生活の中で目にする物を画面の中に捉え直し、新たな視点を提示している。後藤詩織(同)は、透明感のある鮮やかな色彩により、一つ一つの心象風景を表情豊かに描き出している。

大分県立美術館 主幹学芸員 宇都宮壽
 


野村正則「紫の窓辺」

野村正則「紫の窓辺」


川野美華「Hikikomori」

川野美華「Hikikomori」


大分合同新聞 令和2年10月31日掲載

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