OPAMブログ

小川信治のワインエチケット/「ダミアンのロンド」と「円空プロジェクト」

教育普及 2020.06.08



 OPAM教育普及には、小川信治さんの作品が2点あります。
 一つは前回のブログで紹介した《ロンド6》です。
 今回はもう一つの作品《ダミアンのロンド》と、彼が全国行く先々で行っている「円空プロジェクト」について、紹介します。

 まずは《ダミアンのロンド》。これは版画(リトグラフ)+手書きによる作品で、昨年の夏に制作依頼をしました。

 小川さんはイタリアワインのダミアン・ボドヴェルシッチ氏からワインボトルのエチケット用に作品制作を依頼されました。依頼にあたっての条件は「3をテーマにしてほしい」ということ。それは彼が敬虔なカトリック信者であり、父と子と精霊の三位一体を象徴する数字としての「3」だそうです。小川さんは<Perfect World>シリーズで古い絵葉書をもとに人物や建物を二つ並べて描き、<ロンド>シリーズでは無限連鎖を表現するために風景を繰り返して描いています。そこで《ダミアンのロンド》では、それらの中間的なシリーズを描いてみようと考え、これまでに<対称/非対称性>シリーズで描いてきた左右反転したアントワープの大聖堂の塔を3回繰り返して描きました。この鉛筆画を発展させ、リトグラフに手描きを加えたのが、今回の作品です。
 制作プロセスは、鉛筆で描いた原画を写真撮影し、デジタル写真をデータ化。そしてパソコンで一部を削除して、それをもとにリトグラフをつくる。最後に、リトグラフから抜けている部分を鉛筆で描いて完成させています。

 先日再開した「夜のおとなの金曜講座」でも、その作品を視ました。
 角度を変えてみないと、鉛筆で描いた部分はわかりません。

 


 小川さんには、リトグラフの試し刷りも寄贈していただきました。

 真ん中の塔の部分、抜けているところと、描いたところのアップです。

 



 もう一つ、小川さんの「円空プロジェクト」について紹介します。

 ワインボトルのエチケットには、様々な絵が描かれています。ワインを選ぶとき、「あ!この絵、可愛いから美味しいかも♪」と買う人もいるかも知れません。小川さんはこのエチケットに、さらさらっと絵を描き足します。これがあまりにも自然で、もともと描かれていたのはどの部分だったのか、わかりません。まるではじめから全部を小川さんが描いたようです。
 

 


 この即興ドローイングは小川さんの日常で行われてます。全国各地のワインを飲み歩き、そのお店でサラッと即興で描き、そこのお店に置いてくるそうです。題して『円空プロジェクト』。描いている小川さんの姿は、本当に描くことを楽しんでいるように見えます。

 

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