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大分県立芸術緑丘高等学校第73回美術制作展

寄稿 2021.12.21

基礎しっかり 自由な発想
大分市美術館で12月21日から 生徒116人の作品249点

第73回大分県立芸術緑丘高校美術制作展が大分市美術館で21日から26日まで開かれる。美術科生徒116人の日本画や油絵、彫刻、デザイン、素描など計249点を展示する。県立美術館学芸企画課長の宇都宮壽さんの感想を紹介する。

各自とも1年間研鑽を重ねた成果が発表されていた。基礎をしっかり身につけつつ、独自の視点と自由な発想で自立した造形作品に昇華させていこうとする姿勢を感じるものが多くあった。地球環境やジェンダー、パンデミック(世界的大流行)など、近年の社会課題を背景に持つ作品がいくつか見られたのも特徴といえる。中でも特に印象に残った作品を紹介する。

【油絵】
▽八尋梨穂(3年)「霊園」実際に食肉処理場を取材して制作された作品。命の循環を想起させる。
▽大末百華(3年)「majority」6つの赤と4つの黒のランドセル、何も置かれていない2つのスペースが描かれたランドセル置き場。題名の「majority(多数派)」に思いを巡らせる。
【日本画】
▽上杉由嬉(3年)「かいこ」“蚕” “懐古” “回顧”。旅立ちゆく少女の思いを映すよう。
▽竹村花菜(2年)「ロンリーガール」少女の左の鼻の穴にはクリームソーダのストロー、両目の目尻からは細く流れる緑色の液体。シュールな表現の中にも思春期の少女の多感な思いが映されている。
【彫刻】
▽渡邊野々花(3年)「選択」アニメーションの一場面のような出立ち。見る者に自身の「選択」を問う。
▽首藤泰季(3年)「思考の舞い」人間の創造力の無限の可能性を感じさせる。
【ビジュアルデザイン】
▽佐藤舞利香(3年)「cafe au lait」どんな気分の時でもちょっと訪れてみたくなる不思議なカフェをアニメーションで演出。
▽木村花梨(3年)「3A!ピクトグラム」クラスメイト一人ひとりの特徴を観察し、デザインの力をフル稼働しピクトグラムで表現した。
【クラフトデザイン】
▽篠田茉洸(3年)「花」小説や数学、経済学などの本に描かれた老人と子ども。人間の生きる姿や社会を見事に映し出す。
▽田﨑真奈美(3年)「慈愛」人間や動植物、自然が慈しみあい共生し続ける社会を希求した。
【デッサン】
▽竹口春菜(3年)対象の姿形だけでなく内面の動きをも映し出す迫力がある。
▽安東風花(3年)人物の生身の姿をも投影させる力強さと奥深さがある。

その他の印象に残った作品の生徒の名前を紹介する。
【1年】野登谷幸希、秋山奈都、猪春香、大澤彩音、於久一葉、永岡遥、德永那海、上野彩花
【2年】田原ひなの、小田紳矢、田中彩希、姫野真帆、坂本峯彩、三浦歩、山田明佳里、前田千咲子、松原佑奈、猪原海瑠、黒枝雫、赤峰由那、井上晴空、海野玲希、河野風大、平松愛優
【3年】浜野百花、後藤寿々菜、秦七海、吉良美乃里
 

八尋梨穂《霊園》
八尋梨穂《霊園》
上杉由嬉《かいこ》
上杉由嬉《かいこ》
渡邊野々花《選択》
渡邊野々花《選択》
佐藤舞利香《cafe au lait》
佐藤舞利香《cafe au lait》
篠田茉洸《花》
篠田茉洸《花》
鉛筆デッサン・竹口春菜
鉛筆デッサン・竹口春菜
木炭デッサン・安東風花
木炭デッサン・安東風花


大分合同新聞 令和3年12月17日掲載