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OPAMブログ

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びじゅチューン!× OPAM なりきり美術館 第4回

展覧会 2021.03.12

見返り美人が動く体感型も

「びじゅチューン!×OPAM なりきり美術館」は、世界の美術を歌とアニメで紹介するNHK・Eテレの人気番組「びじゅチューン!」とのコラボレーションです。番組はアーティストの井上涼さんが作詞、作曲、アニメ、歌の全てを手掛けています。

江戸時代を代表する浮世絵師、歌川広重(1797~1858年)の「名所江戸百景」シリーズの一つ「大はしあたけの夕立」を題材にしたアニメ「雨は愛すが人逃げる」のコーナーを紹介します。
このアニメは着物の裾をまくり上げ、傘を目深にかぶり、帰路を急ぐ橋の上の人々が描かれたこの絵を見た時、今にもザーッという雨音が聞こえてきそうなほどの雨の表現が印象的で、雨雲の視点で高い所から逃げ惑う人々を見ている絵ではないかと思って作られた作品です。復刻版の浮世絵とともに摺(す)りの工程も紹介します。
さらに、雨や水に関連させ、共に大分市出身の日本画家、福田平八郎(1892~1974年)の「水」と髙山辰雄(1912~2007年)の「雨」も展示します。

次は江戸時代初期に活躍した浮世絵師で、浮世絵の元祖ともいわれる菱川師宣(ひしかわもろのぶ)(1618?~94年)の代表作「見返り美人図」をテーマにした作品「見返りすぎてほぼドリル」です。見返り美人といわれるほど、ちらちらと振り返っていたら、そのうちぐるぐる回り始めてしまうのではないかと思い制作されました。
高精細の複製品を展示している他、モニターの前で体を動かすと、見返り美人が同じ動きをする体感型コンテンツも楽しめます。また、肉筆美人画を得意とした浮世絵師の紹介もあります。豊後臼杵(現臼杵市)の生まれという説が有力な歌川派の開祖・歌川豊春(1735~1814年)や、豊後真玉(現・豊後高田市)に生まれ、幕末の京都で美人絵師として名をはせた吉原真龍(1804~56年)の美人画なども展示しています。

▽大分県立美術館(OPAM)の開館5周年記念事業「びじゅチューン!×OPAM なりきり美術館」は5月9日まで。入場料は一般300円、大学・高校生200円。中学生以下無料。

(大分県立美術館 主幹学芸員 宇都宮壽)
 

びじゅチューン!「見返りすぎてほぼドリル」 菱川師宣《見返り美人図》(高精細複製品、東京国立博物館) Image:TNM Image Archives
びじゅチューン!「見返りすぎてほぼドリル」 菱川師宣《見返り美人図》(高精細複製品、東京国立博物館) Image:TNM Image Archives


大分合同新聞 令和3年3月6日掲載