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右に左に!  教育普及グループ的な企画展の楽しみ方@竹工芸名品展②

教育普及 2019.05.30

 竹で編まれた籠は、モアレ模様を生み出す。多くの作品でこのモアレ模様を楽しむことができるが、なんといっても生野祥雲斎「七宝文煤竹網代編盛籠」に注目してほしい。網代編みの文様や煤竹の色の趣もある作品だが、ここでは作品から4mほど離れたところから歩きながら見る、あるいは見ながら右左に体重移動するのだ。多くの人が高速に動くモアレ模様に目をみはるのではないだろうか。とても早く動くモアレ模様。少し動くだけで目まぐるしく変化する模様に、思わずしばしの間、右へ左へと体重移動する。その秘密は竹ひごの太さにあった。竹ひごの太さを少しずつ変えることにより、生まれる模様に変化をつけている。また谷岡茂男「花籠 双樹」は、作品の正面向かって30cmほど左へズレたところから見つめたまま、右へ左へと体重移動するのが良い。不思議なことにモアレ模様の生まれる部位が異なるのだ。
 そしてコレクション展示室にも、当館所蔵の竹工芸の作品がたくさん並んでいる。中でも生野祥雲斎の「炎」はまさに火が燃えているようなモアレ模様が見える。「陽炎」と並んで展示されていて、モアレ模様を見比べることが出来るのも、今回の見どころの一つだ。モアレ模様、どちらの展示室でも楽しんでほしい。
 

大分県立美術館 教育普及グループ 主幹学芸員 榎本寿紀
 

  生野祥雲斎「七宝文煤竹網代編盛籠」        谷岡茂男「花籠 双樹」
  生野祥雲斎「七宝文煤竹網代編盛籠」        谷岡茂男「花籠 双樹」