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アート&デザインの大茶会 その3 ミヤケマイ 現代の大茶室

展覧会 2018.04.30

ミヤケマイ《必然》2013年 写真:繁田諭

ミヤケマイ《必然》2013年 写真:繁田諭

現代の大茶室
 
陰陽五行。自然界に存在する物質は「陰」と「陽」の要素から成立すると唱えた「陰陽説」と自然界に存在する物質は「木」「火」「土」「金」「水」の五元素に由来すると唱えた「五行説」が一体化し、古代中国で成立した自然哲学の基礎概念。茶道とも関係性の深い、この陰陽五行の五元素で構成される、希代未聞のインタラクティブな大型のインスタレーション作品=「現代の大茶室」が、大分県立美術館(OPAM)の展示空間に現出します。
人間は口から肛門まで繋がった一本の考える葦であり、時間もまた私たちの認知能力においては未来と過去と現在をつなぐ一つのチューブのような存在であるととらえる作者のミヤケマイさんが、五行で構成され、さらに、人間を模した一本の筒としての迷路のような空間に鑑賞者を誘います。
 
モダンな陰陽五行 - 伝統とハイテクの融合
 
そして、鑑賞者が展示空間に一歩足を踏み入れると、そこから、五感を刺激する、インタラクティブな茶室空間の体験が始まります。
まず鑑賞者は展示会場の入口に設えられた、茶会において招かれた客が連客を待ち合わせる場所である、寄付に腰を下ろし、鑑賞の順番を待ちます。
そうして、いよいよ、細い路地を通って五行の空間につながるコントロール茶室に向かいます。
このコントロール茶室は、五行の5つの空間の結節点であり、それぞれの空間への入口ですが、次に、五行のどの空間に身を移すのか、それはコントロール茶室の中での鑑賞者の志向や行動などによって決められます。
そして、「木」「火」「土」「金」「水」の5つの空間のどれかひとつ指し示された空間から、それぞれの鑑賞者の鑑賞体験が始まります。
「木」「火」「土」「金」「水」それぞれの空間にも、作品や空間との対話を通して、鑑賞者の五感を刺激する出会いが待ち構えています。
これまでに見たことも、考えたこともなかったような、驚きの空間。
ここにしかない、驚きと五感を刺激する作品との出会いを、ぜひ、OPAMで体感ください。
 

(大分県立美術館 宇都宮 壽)

作品コンセプト

全部が見たいと思っても
全部を手に取ることも
全て有限な時間との競争であり
不可能に思える。
 
隣の芝生はいつも青く見え
他者は何時も御簾越しに感じる。
自分の趣向性や判断が檻であり
人生のコンパスなのだと気づく。
 
外にあるものは内であり
内にあるものは外である
主客転倒の世界
 
見えないからといって
そこにないわけではない。
 
ミヤケマイ 2018
 

作品説明

人間は口から肛門まで繋がった一本の考える葦である。
時間も又私たちの認知能力では未来と過去と現在をつなぐ一つのチューブのような存在である。
一本の筒が路地が繋がって人を誘う。
全部が見られるようで、全部を手に取ることができるかは時間との競争であり不可能に思える。
そのように繋がっている迷路のような空間で茶室を構成する五行を、それぞれ別の空間で表現し、茶室で感じる様々な感覚を脳内統合してもらう、体験型の展示です。
隣の芝生はいつもよく見え他人は何時も御簾越しに感じる。
自分の趣向性や判断が檻であり人生のコンパスなのだと気づく。

ミヤケマイ 2018
 


アート&デザインの大茶会 マルセル・ワンダース、須藤玲子、ミヤケマイ
■会期: 6月15日(金)~7月22(日)
■会場: 大分県立美術館 1階 展示室A
■料金: 一般 1,000(800)円 高大生 500(300)円

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